でしゃばるこなくいつもそこに。


いるはずの人が突然いなくなる。


なんてことがネットの仮想世界では日常茶飯事かどうかはわかりませんが、特に驚くようなことではないらしいです。何せ名前も知らない顔も知らない男か女かさえ自己申告の世界ですので自分の発言に責任などはカケラもありませんし、嫌なら切ればいい。それでおしまいです。


責任がまったく無いので、飛び交う言葉の数はリアルとは比べ物にならないくらい多いのが特徴です。その飛び交う言葉の中からお好きなものだけをいただきます、というスタイルが無理なくネットと関わる鉄則らしいです。いちいち関わっていては体がいくつあっても、心がどんなに強くても、おかしくなってしまう。近すぎず遠すぎず、ということみたいです。



ただの箱。



どんなに離れていても、MMOやチャットでリアルタイムにコミュニケーションできてしまいます。ですが、実は、それはとんでもなく一方的な性格のもので、果たしてコミュニケーションと呼べるのかは疑問に思います。私は、彼(彼女)たちの姿形は何も知りません。文字情報と文章の癖と行間の空気からの想像物で私の頭の中に住んでいる住人に過ぎません。


けれど、私も彼(彼女)たちも確かに存在している。


そう思えるからこそ、かろうじてコミュニケーションでありえるのだろう。