かーちゃんの唄


父ちゃんのためならエーンヤコラー 
母ちゃんのためならエーンヤコラー 
もひとつおまけにエーンヤコラー


これは「ヨイトマケの唄」の歌いだし。
1000年生きてる妖怪、美輪明宏の歌だ。


ヨイトマケの唄』  作詞・作曲 美輪明宏


父ちゃんのためならエンヤコラ 
母ちゃんのためならエンヤコラ 
もひとつおまけにエンヤコラ


今も聞こえるヨイトマケの唄 今も聞こえるあの子守唄
工事現場の昼休みたばこふかして目を閉じりゃ
聞こえてくるよあの唄が 働く土方のあの唄が 貧しい土方のあの唄が


子供の頃に小学校で ヨイトマケの子供きたない子供と
いじめぬかれてはやされてくやし涙に暮れながら
泣いて帰った道すがら 母ちゃんの働くとこを見た 母ちゃんの働くとこを見た


姉さんかぶりで泥にまみれて 日にやけながら汗を流して
男に混じってツナを引き天に向かって声をあげて
力の限り唄ってた 母ちゃんの働くとこを見た 母ちゃんの働くとこを見た


なぐさめてもらおう抱いてもらおうと 息はずませ帰ってきたが
母ちゃんの姿見たときに泣いた涙も忘れ果て
帰って行ったよ学校へ 勉強するよと言いながら 勉強するよと言いながら


あれから何年経ったことだろう 高校も出たし大学も出た
今じゃ機械の世の中でおまけに僕はエンジニア
苦労苦労で死んでった 母ちゃん見てくれこの姿 母ちゃん見てくれこの姿


何度か僕もぐれかけたけど やくざな道は踏まずに済んだ
どんなきれいな唄よりもどんなきれいな声よりも
僕を励ましなぐさめた 母ちゃんの唄こそ世界一 母ちゃんの唄こそ世界一


今も聞こえるヨイトマケの唄 今も聞こえるあの子守唄
父ちゃんのためならエンヤコラ 子どものためならエンヤコラ


ヨイトマケってのは、土固めっていう建築現場の地ならしをする土方仕事のことなんだ。今はもちろん機械でドコドコやっちゃうけど、以前は人力。滑車とロープを使って数人がかりで槌を引き上げて振り落としてた。大変な力仕事だからさ、声ださないともたないんだよね。その掛け声が「ヨイトマケ〜」っていったらしい。んで、それがそのまま仕事の名前になって、貧乏な土方って意味で使われてたんだ。


これは不思議なんだけど万国共通で貧しい家庭って、とーちゃんは博打好きの飲んだくれ、かーちゃんが必死なって働いてるパターンじゃない?多いよね。母は強し、ってか男が弱いんだな。オイラ最弱・・・。


このヨイトマケの仕事も女性が多かったみたいだ。男に混じって汗まみれ土まみれになって日銭を稼ぐっていう貧乏な家庭の母親がよく見かけられみたい。んで、部落の母親もこの仕事をする人が多かったんだ。だから、ヨイトマケってのは貧しい土方の仕事ってことだけど、部落民って意味も含んで使われてたんだ。


発売当時は歌詞に差別用語が使われてるってことで発禁扱いになったんだって。けど今じゃいろんな人が歌ってるみたい。時代は変わった、うん。けど、変わらないこともある。変わっちゃいけないことだってある。


この歌を聞くと「畜生、負けてたまるかー」ってがんばってるかーちゃんの姿が目に浮かぶ。貧乏と差別に負けないかーちゃんの背中が目に浮かぶ。貧乏&苦労の美談を書く気にはれないけど、誰かのために腹の底から声を出せる人間ってのはイイと思う。


エーンヤコラー エーンヤコラー


「夜の介抱運動」のはちまきさん、ありがとうね (*´ェ`*)